「なぜ目を離した」「責任取って死ね」…
3歳の娘を大学生に殺された遺族、
SNSのコメントに一家心中も考えた
3歳だった長女を当時20歳の男子大学生に殺害された清水誠一郎さん(52)=熊本市=が、鹿児島市の清水中学校で命の尊さを訴えた。生徒約330人が、事件後に被害者家族を襲う二次被害の実態や人の痛みに寄り添う大切さを学んだ。
事件は2011年3月、家族4人で訪れた近所のスーパーマーケットで起きた。1人でトイレに行った長女の心ちゃんが行方不明になり、その後遺体で見つかった。
多くの報道陣から自宅を囲まれた。恐怖で昼間はカーテンを閉め切り、夜も電気を消して隠れるように過ごした。「幼い子どもから目を離した最低の親」「責任を取って死ね」。交流サイト(SNS)には、非難のコメントが書き込まれた。
娘を守れなかった家族に生きる資格はないと考え一家心中を決めたが、「家族以外の人々」に救われた。24時間体制で見守ってくれた警察官、亡くなってからも毎日連絡ノートを書いてくれた保育園教諭、変わらずに接してくれた息子の友人…。「これ以上一つの命も失うまいと関わってくれた人がいたから生きている。一人一人にできる被害者支援がある」と訴えた。
被告に下された判決は無期懲役。裁判では理不尽に奪われた娘の将来が置き去りにされているように感じた。「日本には終身刑がない。若者に犯罪被害者の現状を知ってもらい、被害者が少しでも報われるような法律のあり方を考えてほしい」と呼びかけた。
3年の女子生徒は「自分も周囲に支えられ生かされていることに気づいた。苦しみを抱えながら、命の大切さを伝えてくれていることに感謝しかない」。3年の男子生徒は「日本は加害者に甘い国だと思う。どうすれば社会のルールを変えられるのか考えたい」と話した。 講話は鹿児島県警などが主催し、13日にあった。
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