似ているようで違う韓国の年越しとお正月、「除夜の鐘」に「とんど焼き」も
日本と似ているようでどこか違う、韓国の年越しとお正月
お隣の国、韓国は地理的にも近く、古代からの交流も盛んな国。文化や言語も日本と似ていることが多く、しばしば親近感が湧きますが、そんなところは年末年始のイベントにも見られます。
韓国では正月には、凧あげをしたり、すごろくにも似たユンノリ(윷놀이)という伝統遊びをしたりと、何かと似ています。そんな韓国の年末年始の様子をお伝えしつつ、「似てはいるけれど、微妙に違う点」にフォーカスしてみたいと思います。
韓国の除夜の鐘は「108回」ではなく「33回」鳴らす
旧正月が新年のメインイベントとなる韓国で、1月1日は、ごく普通の休日扱い。2日になると、新年であることを忘れてしまうかのように、普段通りに街が動いていきます。そのため大晦日のカウントダウンもそれほどパッとしませんが、特に日本に似ている点といえば、除夜の鐘(かね)に似たイベントがあることです。
それは朝鮮時代から続くソウルのメインストリート、鍾路(종로、チョンノ)の普信閣という鐘楼で行われる鐘突きイベント。韓国のカウントダウンイベントのなかで最も注目されるものがここですが、交差点を埋め尽くすほどたくさんの人が集まります。
除夜の鐘の行事は日本統治時代に根付いたようですが、現在行われているものは、このイベントのみ。鐘を鳴らす回数は「108回」ではなく「33回」。この鐘は、朝鮮時代に都城の門の開閉時刻を知らせるために使われていたもので、開門時の回数に由来するといわれています。
お正月は、仏閣への初詣……ではなくご先祖様のお墓参り
韓国の年末年始のメインは旧正月です。韓国の固有語では「ソル(설)」といい、旧正月当日は「ソルラル(설날)」といいます。旧暦12月31日~1月2日は祝日扱いとなり、市場や商店は一斉にシャッターを閉めるので街は閑散とします。
韓国では儒教の考えで、遺体を壊すことを嫌い、土葬が一般的に行われてきました。そのためお墓は山の斜面で盛り土になっています。しかし、今では考え方が変わっており、80%以上の人が火葬を選んでいるようです。
土まんじゅう型のお墓の前で、清酒やお供え物をささげ、その場でひざまずいて「クンジョル(큰절)」というお辞儀をします。一見すると土下座のようにも見えますが、これは敬意をこめた最上級の礼なのです。
このクンジョルは、親戚などへの新年の挨拶、「歳拝(세배、セベ)」でも行われます。日本と同様に「お年玉」の風習がある韓国なのですが、このように正式な礼をしてからお金を受け取るという行為は、目上の人への礼儀を非常に大切にする文化なのだとも思えます。
韓国で「お雑煮を食べる」ことは「年をとる」こと
旧正月の韓国の家庭では、茶礼で供えた料理を食べます。また正月に食べるものといえば、トックッ(떡국)とよばれる餅スープです。日本のお雑煮は地域によっても、家庭によっても様々ですが、現代の韓国では牛肉の出汁が用いられることが一般的。とはいえ、日本ほどではないにしろ、地域や家庭でも異なり、鶏肉や海産物の出汁を用いることもあるようです。
韓国では新年を迎えるたびに年を重ねる「数え年」が今でも使われており、これを食べる習慣があることから「トックッを食べる(떡국을 먹다)」という言葉が、「1つ年を取る」という意味で使われています。しかし、この餅スープは、必ずしも正月料理というわけではなく、年中食堂で食べることができる食べものです。その点もお雑煮とは微妙に異なるところです。
福を受け取ってください。新年の挨拶は年末から旧正月までカバー
そして最後になりますが、韓国にも「あけましておめでとうございます」に当たる挨拶があります。それは「새해 복 많이 받으세요(セヘ ポン マニ パドゥセヨ)」という言葉。直訳すると「新年、福をたくさん受け取ってください」という意味。そのため「良いお年をお迎えください」の意味でも用いられます。クリスマスツリーが年越しのあいだ、ずっと街を飾るように、この言葉も年をまたいで使われるのです。
このように似ているようで微妙に異なる部分が多い日韓のお正月。とはいえ新年に福を呼びこむという意味では、韓国の新年の挨拶は、共通して使えるようにも思えます。そんな訳で、みなさんも福をたくさんお受け取りください! 「새해 복 많이 받으세요(セヘ ポン マニ パドゥセヨ)」。
リンク:https://locotabi.jp/kaigaizine/newyear-korea