一夜で億万長者に タンザナイト原石を発見の鉱山労働者
タンザニアの小規模鉱山の労働者がタンザナイトの原石を2つ発見し、一夜で億万長者となった。この原石は、同国の鉱山省に240万ポンド(約3億2000万円)で売却された。
これまでに採掘された最大の原石は3.3キロだったが、今回サニニウ・ライザーさん(52)の発掘したタンザナイト原石は9.2キロと5.8キロだった。
タンザナイトはタンザニア北部でしか採掘されない、世界でも最も希少な部類に入る宝石。専門家によると、今後20年で埋蔵量のすべてが採掘されてしまう可能性があるという。
緑や赤、紫、青などさまざまな色があり、色や透明度で値段が変わる。
タンザニアのジョン・マグフリ大統領はライザーさんに電話で祝辞を伝え、「これは小規模鉱山労働者になる利点で、タンザニアが豊かなことの証だ」と述べた。
北部マンヤラのシナンジロ地区に住むライザーさんには、4人の妻と30人以上の子どもがいる。タンザナイトの発掘を祝うため、飼っているウシの1頭をほふるつもりだと話した。
■地元に学校などの建設を検討
ライザーさんはまた、手にした資金で地元に投資する計画を明らかにした。
「ショッピングモールや学校を建てるつもりだ。自分の家の近くに学校を作りたい。ここには子どもを学校に連れて行けない貧しい人がたくさんいるので」
「私自身は教育を受けていないが、何でも専門知識に基づいて進めるのが良いと思っている。私の子どもたちには知識をつけて、ビジネスをしてもらいたい」
一方、この変化で生活が変わることはないと語り、今後も2000頭のウシを飼い続けると話した。急に巨万の富を得たものの、それで何か気をつけることもないと語った。
「ここは安全なので問題はない。真夜中に歩き回っても大丈夫だ」
マグフリ大統領は2015年に政権についた際、タンザニアの鉱業を守り、政府の歳入を増やしていくと約束した。
タンザナイト資源の保護のためライザーさんのような小規模鉱山労働者は、政府から認可をもらって採掘をしているが、大企業の鉱山の近くなどでは違法採掘がはびこっているという。
2017年には、世界でただひとつのタンザナイト鉱山とされているメレラニ鉱山の周囲に、全長24キロの壁を作るよう軍に命令を出している。
BBCのサミー・アワミ記者によると、タンザニア政府は昨年、この壁の建設のおかげて政府の鉱業からの収入が増えたと報告している。
リンク:https://news.yahoo.co.jp/articles/3c640894f4f8e25a78736260b7ca0fa63b9a196d
[単語]
1.億万長者(おくまんちょうじゃ):非常に多くの金や財産を持っている人。大金持ち。
2.鉱山(こうざん):地中から鉱物を採掘する場所や事業所。
3.発掘(はっくつ):地中に埋もれているものを掘り出すこと。
4.希少(きしょう):少なくて珍しいこと。きわめてまれなこと。
5.埋蔵量(まいぞうりょう):地殻までの地下に存在する物質の量。
6.採掘(さいくつ):岩石・土砂や地中の鉱物などを掘り出すこと。
7.巨万の富(きょまんのとみ):莫大な量の財産のこと。非常に大きな財産のこと。
8.歳入(さいにゅう):国・地方公共団体の一会計年度における一切の収入。
9.鉱業(こうぎょう):有用鉱物を探査・採掘し、それらを原料として加工・処理し、社会に供給する産業。