観光業向け補助に申請殺到、初日で打ち止め 京都「売上10分の1に」業者悲鳴
新型コロナウイルスの感染拡大で京都観光が深刻な影響を受けている中、京都市は6日、観光関連事業者を対象にした緊急支援補助金の受け付けを始めた。窓口の市役所には初日から約200社が殺到し、確保していた4500万円の予算枠を超えたため、市はこの日で受け付けを終了した。訪れた事業者は観光客減少による厳しい現状を訴えた。
補助金は、売上高が減少したか、減少が見込まれる中小企業や個人事業主、NPO法人などが対象で、大企業は対象外。消毒液やマスクなど感染症予防の備品の購入費に使えるほか、現状を乗り越えるための販促キャンペーンや終息期を見据えた設備投資、従業員研修にも使える。店舗の賃借料や光熱水費、損失の穴埋めは対象とならない。補助率は経費の4分の3で、上限は30万円。
■会場に扇風機や空気清浄機、申請者途切れず
この日は、午前9時の受け付け開始直後から途切れることなく申請者が訪れた。感染リスクを下げるため、会場には扇風機や空気清浄機が置かれ、受け付けを終えた後、申請手続きが始まるまでいったん退出する人もいた。
中京区でホテルを経営する男性(68)は「客室価格を半額に値下げしたが、それでも予約のキャンセルが止まらない。稼働率は20%以下で、4月の売り上げは昨年の10分の1になりそうだ」と明かす。休業も検討するというが「従業員の生活もあり、どうすればいいか分からない」と声を落とした。
■「前向きに考えないとやってられない」
右京区で漆器製造販売業を営む男性(61)は観光客が戻ったときに備え、補助金は「商品開発の設備投資に使いたい」と話す。外国人を中心に客が減って売り上げが半減したといい、「1月以前の状況に戻るとは考えられないが、今は前向きに考えないとやってられない」と苦笑する。
来所した事業者以外に郵送で受け付けた分が約70件あったといい、市観光MICE推進室の担当者は「事前に約300件の問い合わせがあり、想像通りの多さだった。苦しい時期に前を向く事業者を下支えできれば」と話している。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200408-00311546-kyt-l26
[単語]
1.打ち止め(うちどめ):物事を終わりにすること。
2.悲鳴(ひめい):悲しんで鳴くこと。
3.キャンペーン:【campaign】ある目的のもとに組織的に人々に働きかける活動。
4.終息(しゅうそく):物事が終わって、やむこと。
5.見据える(みすえる): 物事を直視して本質を見定める。視線をそらさず相手を視線でしばるようにじっと見つめる。