24年連続で転入超過 東京一極集中で増す少子化の深刻度
東京圏への転入人口が24年連続で増加し、東京圏への一極集中がさらに拡大してきている。総務省が先月31日に発表した住民基本台帳による2019年1~12月の人口の移動は、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)への転入者は54万140人。一方、転出者は39万1357人で、転入者が14万8783人上回る「転入超過」となっている(外国人含む)。
日本人の移動に限ると転入超過者は14万5576人で24年連続となる。東京一極集中が加速している状況が明らかになった。
大阪圏(大阪、兵庫、京都、奈良)では3857人の転出超過。名古屋圏(愛知、岐阜、三重)では同1万1515人となり、日本人の移動ではともに7年連続の転出超過となっている。東京圏への一極集中は他の2大都市と比較しても明らかだが、人口問題に詳しいジャーナリストの河合雅司氏がこう分析する。
「今後しばらくは人口の東京一極集中は続きます。大阪圏、名古屋圏から東京圏への人の流入は続きますが、同時に周辺地域から大阪市、名古屋市に外国人を含め人が集まり、ミニ東京化した都市化が進むと思います。その場合、人の移動だけではなく、今後は誰が移動しているかに注目すべきです」
河合氏は、今後は高齢者と外国人が都道府県を越えて増えると言う。実際、住民基本台帳調査で年齢3区分別の転入超過を見ると、15~64歳の転入者は東京都をはじめ上位20位のうち東京圏が14市町村を占め、65歳以上の転入者は上位20位の10市町村を占めているのだ。
東京圏には人、モノ、資金、情報、娯楽が集中する。若者は進学先や就職先は東京というケースは増えるが、高齢社会のなか、今後は東京圏をはじめとして都市部へ高齢者の転入が急増することがうかがえる。
■地方から若い女性がいなくなる?
また、見逃せないのは女性の転入者が東京圏に集中してきていることだ。転入超過数を男女別に見ると、3大都市圏全体では男性が5万4411人の転入超過に比べ、女性は7万5793人の転入超過で2万1382人多い(日本人移動者)。
3大都市別では東京圏は男性が6万3651人、女性は8万1925人の転入超過で女性が1万8274人多い。名古屋圏は男女とも転出超過、大阪圏は男性が4763人の転出超過、女性は前年の転出超過から906人の転入超過となっている。先の河合氏が言う。
「大卒の高学歴女性が増えましたが、知識やスキルを持った女性たちが働く場所が地方にはなく、就職は首都圏でというケースが増えている。地方に若い女性がいなくなる東京一極集中は、少子化を加速させることにつながります」
政府は東京圏一極集中を是正するため、転入と転出を2024年度までに均衡させるというが、政府の地方創生戦略は具体策が見えてこない。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200213-00000016-nkgendai-life
[単語]
1.一極(いっきょく):一つの極、極点。
2.超過(ちょうか):一定の限度を超えること。きめられた枠をこえること。
3.均衡(きんこう):いくつかの物事の間に力や重さの釣り合いがとれていること。