小坪漁港の正月恒例「みかん投げ」 大漁旗たなびく漁船から
小坪漁港の伝統行事「みかん投げ」が1月2日、行われた。主催は小坪漁業協同組合。(逗子葉山経済新聞)
「みかん投げ」は八大龍王社の祭事の一つ。漁師たちは9時から一年の豊漁と海上での安全を願って龍宮にミカンを奉納する。その後、10時に漁業協同組合の建物前に置かれたトラック上から始まり、停泊中の5隻の遊漁船、浜に係留した漁船の上から順番に漁師らがミカンや駄菓子を投げる。集まった人々はその順番に合わせて足早に移動する。
多くの家族連れが船の前で「こっちにも投げて」「こっちこっち」と大きな声を上げ、魚の網や紙袋、カゴ、グローブなどでキャッチした。
小坪漁業協同組合の組合長、大竹清司さんは「昔は集まる人も少なくてミカンも取り放題だったが、年々増えて、今日は2000人くらい集まってくれていたんじゃないかな。今までは順番に船1杯(隻)ずつ投げていたが、人が集中して危ないので今年は2杯、3杯と同時にした。投げ方も船の前に集中しないよう、後ろの人にも届くように投げようと申し合わせた」と話す。
「みかん投げ」を終えて、父母と子ども3人がそれぞれに取ったミカンや駄菓子を見せ合っていた市内の家族は「ずいぶんたくさん取れてうれしい」と笑顔を見せた。昨年、初めて参加した時、ミカンを取り合う大人の迫力が少し怖かったという小学1年生の男子は「今日は楽しかった。投げている漁師さんにちょうだいと言うと袋に入れてくれた」とミカン10個とたくさんの駄菓子を入れた布袋を抱えた。
大竹組合長は「今年もみかん投げが天気に恵まれて良かった」と話し、「もうすぐワカメの時期だが今年は良さそう。昨年、献上できなかたミルも今年は献上できるようにしたい。ウニも始める。3回目となる船上市場も期待してほしい」とも。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200102-00000006-minkei-l14
[単語]
1.恒例(こうれい):いつもきまって行われること。
2.祭事(さいじ):祭りの行事。神事。
3.漁師(りょうし):漁をして暮らしている人。
4.豊漁(ほうりょう):魚などがたくさんとれること。
5.龍宮(りゅうぐう):深海の底にあって竜神や乙姫 (おとひめ) などが住むという、想像上の宮殿。
6.奉納(ほうのう):神仏に喜んで納めてもらうために物品を供えたり、その前で芸能・競技などを行ったりすること。
7.隻(せき):比較的大きい船を数えるのに用いる。助数詞。
8:遊漁船(ゆうぎょせん):釣りなどの娯楽のために客を乗せて航行する船。