大学入試 国語・数学の記述式延期を発表 改革2本柱、英語に続き頓挫
2020年度から大学入試センター試験に代わって始まる大学入学共通テストで導入予定だった国語と数学の記述式問題について、萩生田光一文部科学相は17日の閣議後記者会見で、延期すると発表した。安倍政権が推進する大学入試改革の象徴でもあった共通テストは英語民間試験の活用と記述式問題の導入という2本柱が折れることになった。
記述式問題の採点はベネッセホールディングスの子会社が受託することになっていた。50万人規模の採点を20日間程度で行うため約1万人の採点者が必要とされ、アルバイトの起用による採点のミスやぶれへの懸念があった。過去2回の試行調査では受験生の自己採点と実際の得点のズレも判明した。受験生は自己採点の結果で出願先を決めるため受験生からは不安の声が上がっていた。
導入を強行すれば政権の新たな火種になりかねないとして、首相官邸や与党内から延期を求める声が強まり、文科省は見送りを決めた。
大学入試改革は安倍晋三首相肝いりの教育再生実行会議が13年に出した提言をきっかけに議論が始まった。20年度から始まる共通テストは、英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)を評価するために英語民間試験を活用することと、表現力や判断力をみるために記述式問題を導入することが柱だった。英語民間試験は経済・地域事情による受験機会の格差の解消に見通しが立たず、11月1日に延期が決定し、24年度に新制度の実施が検討されている。
◇大学入学共通テストの記述式問題
思考力や表現力をみるのが目的で、国語、数学Ⅰ、数学Ⅰ・Aで3問ずつ出題し、採点はマークシート式と異なり、人が行う。国語は最も長くて80~120字程度で記述させ、マークシート式と別に5段階で評価し、成績の活用方法は各大学に委ねる。数学は簡単な数式などを書かせ、成績はマークシート式と同様に点数化する。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191217-00000020-mai-pol
[単語]
1.頓挫(とんざ):勢いが急に弱まること。また、計画や事業などが途中で遂行できなくなること。文章や演説の調子が急に変わること。
2.火種(ひだね):火をおこす種とする火。事件・騒動などの起こる原因となるもの。
3.見送り(みおくり):実行をさしひかえてようすを見ること。