韓国伝統農具「ホミ」がなぜ? 米Amazonで園芸用品トップ10入り
日本京都に行くと「有次」という老舗の店がある。1619年に開業した台所用刃物の名家だ。質が良い鉄を火に熱し、何度も叩いて伸ばし、精巧な刃物を作る。台所用刃物だが「名剣」と呼ばれる。刃物にはどうだと言わんばかりに「有次」という刻印が打ち込まれている。韓国の慶尚北道栄州には「栄州テジャンガン」がある。片手鋤(すき)の一種である「ホミ」と呼ばれる韓国伝統農具の名家だ。使い道に合わせて丈夫なホミを作る。ホミの取っ手には誇らしく刻印が打ち込まれている。「最高職人 ソク・ノギ」。
「栄州テジャンガン」のホミは韓流の中心に立っている。昨年から世界的なオンラインショップの米国アマゾン(Amazon)で「大当たり」したためだ。アマゾン園芸用品「トップ10」に「栄州テジャンガンのホミ(YoungjuDaejanggan ho-mi)」と堂々のランクインを果たした。イーベイ(eBay)など他の海外ネットショップでもよく売れている。ガーデニングの方法を紹介するYouTubeに登場しながら注目を集めるようになったという。韓国では1本4000ウォン~5000ウォン(約392円~490円)のホミは海外では14~20ドル(約1550円~ 2215円)で売れる。米国では「スコップはあってもL字形に曲がった園芸器具を見たのは初めて」「手首に余計な力を入れなくてもいい」などの称賛が相次いだ。
ホミを作ったのは60代の田舎の鍛冶屋の親父だ。19日午後に訪れた慶尚北道栄州市栄州駅付近の路地。「栄州テジャンガン」のある所だ。「タンッタンッタンッ」。ソク・ノギさん(65)が黒いすすだらけのズボンとTシャツを着て、火に熱した鉄を叩いていた。L字形に曲がった鉄を見ると、ホミの刃の部分だった。これがアマゾンで売られているホミだ。
ソクさんは「今年で鍛冶屋を創業して43年、ホミを作って52年目だが、米国でホミが人気だということを実感できない」と言って明るく笑った。言葉を続けた。「昨年の中旬ごろ、アマゾンからホミの注文が突然多く入ってきました。初めはアマゾンというから、どんな森の中で韓国の『アジュンマ(おばさん)』が団体で地面を鋤くのかと思いました」。“アマゾン”が米国大型ショッピングモールであることを知らなかったのだ。
「実は10年余りから流通業者を通じてオーストラリアなど海外に1カ月に3、4本のホミを送ってはいたのですが、昨年突然注文が増えたのです。昨年6カ月間で1000本以上輸出したし、今年に入って3カ月間で1000本程度は送ったと思います。最近ではネパールなど他の国からも購入の問い合わせがあります」
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-00000030-cnippou-kr
【単語】
1. 伝統 : ある集団・社会において、歴史的に形成・蓄積され、世代をこえて受け継がれた精神的・文化的遺産や慣習。
2. 農具 : 農業に用いる器具。
3. 園芸 : 果樹・野菜・花卉(かき)などを植え育てること。また、その技術。
4. 老舗 : 代々続いて同じ商売をしている格式・信用のある店。
先祖代々の家業を守り継ぐこと。
5. 台所 : 家の中で食物の調理や炊事をする場所。厨(くりや)。勝手。炊事場。だいどこ。
6. 手首 : 掌(てのひら)と腕がつながっているところのこと。また、てのひらと腕をつなぐ関節のこと。
7. 称賛 : 褒めたたえること。
8. 鍛冶 : 金属をきたえて、いろいろの器具を作ること。また、その人。
9. 流通業者 : 商品の流通に関わっている者のうち生産者を除く業者であり、卸売業や小売業者などの流通経路における取引主体をさす。
10. 突然 : 予想外の物事が前触れもなく急に起こるさま。だしぬけに。いきなり。突如。