市街地にカラス数万羽 ナゾの行動のワケ
熊本市の中心部に現れた、カラスの大群。
ある不可解な行動で住民を悩ませている。
街中に現れたある生き物。
その数、多い日には、数万羽にも及ぶという。
熊本市の市街地上空を舞う、カラスの大群。
2018年11月ごろから、目撃情報が寄せられている。
町の人々からは、こんな悲鳴も...。
女の子「何か(頭に)落ちてきた~」
女性「屋根の下を通っているときに、フンの音がパチパチとするので。雨が降るような音が...。もう怖くて怖くて」
人々を困らせているのは、カラスが落とす「フン害」。
市街地の電線や街路樹にとまるため、道路や歩道橋、電話ボックスまで、フンの被害を受けている。
直撃を避けようと、傘をさして歩く女性もいた。
この数万羽ものカラスがあつまるのは、決まって夕方午後6時ころ。
昼の間は、ほとんどのカラスが市街地から姿を消してしまう。
カメラが向かったのは、市街地から離れた水田地帯。
カラスたちは電線に群れていたり、土をほじくり、何かを食べている様子。
そして夕方になると、再び市の中心部へ。
町の上空で旋回したあと、ビルの上や街路樹、電線などに降り立ち、朝まで過ごしているようす。
宇都宮大学・名誉教授
「日中は田んぼとか、フィールドに出て採食行動をしています。夕方は林の中の木とかよりは、(市街地は)見晴らしが比較的きくので。電線とか人が見えるところに止まっていると思われる」
じつはこのカラス、通常、日本で見かけるものとは種類ではなかった。
宇都宮大学・杉田昭栄名誉教授
「渡り鳥の「ミヤマガラス」というカラスです。普段はユーラシア大陸に住んでいるが、冬の時期はものすごく寒さが厳しくなります。暖かさを求め、越冬して日本に来ている」
日本国内でよくみられるカラスは、ごみ箱などをあさることで知られる、「ハシブトガラス」や「ハシボソガラス」。
冬になると大陸からやってくる渡り鳥の「ミヤマガラス」は、くちばしの根元が白いのが特徴。
暖かさを求め、熊本にやってきた、「渡り鳥ガラス」の大群。
1970年代には、主に九州地方だけに確認されていたが、90年代前半には四国や北海道、日本海側にも拡大。
そして、2000年代以降になると、なぜか東京だけを除く、全国で確認されるようになった。
ミヤマガラスの大量飛来が、今後関東で起こる可能性について、杉田名誉教授は「関東では数万匹のカラスのえさ場はないので、可能性は低いのでは」と話している。
数万羽ものカラスに悩まされている熊本市。
市は来週、専門家を招いて、効果的な駆除の方法に関する講習会を開くなど、具体的な対策に乗り出すことにしている。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190214-00010023-houdoukvq-soci
【単語】
1. 市街地 : 人家や商店が密集したにぎやかな土地。
2. カラス : 広義には鳥綱スズメ目カラス科に属する鳥の総称で、狭義かつ一般的にはカラス属およびそれに近縁な属に含まれる鳥をさす。
3. ナゾ : 謎。 実体がわからないもの。不思議なこと。
4. 大群 : 動物などが非常に多く集まってつくる群れ。
5. 不可解 : 理解しようとしても理解できないこと。また、そのさま。
6. 採食 : 主に、動物が食物を摂取すること。
7. くちばし : 鳥類の口の部分に突出する、上下のあごの骨の表面が角質化したもの。
8. 根元 : 物事の基本。こんぽん。
9. 駆除 : 害を与えるものを追い払うこと。
10. 対策 : 相手の態度や事件の状況に対応するための方法・手段。