日本のシルバー産業を通じて韓国リハビリ福祉の未来を見る
粒子状物質が韓国の空を覆った朝、日本行きの飛行機に乗り込んだ。日本最大のリハビリ医療見本市「Care Show Japan 2019」に参加するためだ。福祉およびシルバー産業関連の300社以上の企業が集まった非常に大規模の展示会だ。
すでに超高齢化社会に進入している日本のシルバー産業がどの方向に発展しているかを調べ、また今まさに超高齢化社会に進入しようとしている韓国のリハビリテーション福祉の未来を見通すためだった。韓国統計庁によると、韓国はすでに2000年に高齢化社会(65歳以上の高齢者の人口比率が7%以上)に進入し、2026年には高齢者の人口比率が40%に達する超高齢化社会に進入すると予想している。
韓国における療養や医薬品などシルバー産業の経済規模も急速に大きくなり、来年には124兆ウォン(約12兆円)規模に成長するという発表があった。私は高齢者の治療を多く手がけるリハビリ医学科の医師という立場から、およそ300件におよぶコンテンツを一つ一つ体験して印象的ないくつかのアイテムを紹介したい。
1)高齢者筋肉訓練ロボット(筋肉貯金運動)
今回の見本市のハイライトは何と言ってもソフトバンク社が開発した高齢者筋肉訓練ロボットだった。日本は高齢者の「サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)」を非常に深刻に捉えている。人間は誰でも40代から筋肉量が1%ずつ減り、70代になると30%以上の筋肉が減少する。
筋肉が減るサルコペニアにかかると、糖尿病などの病気によくかかるようになるだけでなく、病気からの回復能力も低下する。また、筋肉量が減ってしっかり歩くことができないと病看護のための大規模な努力が必要になる。そのため高齢になって筋肉が減って「筋肉不渡り」が出る前に、前もって「筋肉貯金」をしておけば「高齢者医療」関連のコストが抑えられるというのが日本政府の計算だ。
愛らしい外見の運動ロボットは高齢者を対象に運動を楽しく教え、高齢者が自ら「筋肉貯金」できるように助けてくれる。それだけでなく、孤独な高齢者とは話を交わし、100人の老人の顔を認識しながら個人別に運動のオーダーメイド処方も可能だというという。
今回の見本市にはソフトバンクやヤフージャパンなど日本の大企業が高齢者のための装備や多彩なソリューションを出していたが、老人リハビリに対する在日同胞・孫正義会長の関心と責任意識を感じることができた。韓国大企業も損益の問題を度外視して、自国の当面課題である老人リハビリのために惜しみない投資と開発が大企業としてのもう一つの責任ではないかと考える。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190211-00000040-cnippou-kr
【単語】
1. シルバー産業 : 高齢者を対象とした商品やサービスにかかわる事業活動。
2. リハビリ : リハビリテーション( rehabilitation)、身体的、精神的、社会的に最も適した生活水準の達成を可能とすることによって、各人が自らの人生を変革していくことを目指し、且つ時間を限定した過程である。
3. 福祉 : 幸福。特に、社会の構成員に等しくもたらされるべき幸福。
4. 高齢化社会 : 総人口に占めるおおむね65歳以上の老年人口(高齢者)が増大した社会のこと。
5. 療養 : 病気やけがの手当てをし、からだを休めて健康の回復をはかること。治療と養生。
6. 筋肉訓練 : 骨格筋の出力・持久力の維持向上や筋肥大を目的とした運動の総称。
7. 筋肉貯金 : 加齢によって減ってくる筋肉を今の内から蓄えておくこと。
8. 糖尿病 : 血液中の血糖が慢性的に多い状態となり、血糖値が高くなる病気。
9. 孤独 : 仲間や身寄りがなく、ひとりぼっちであること。思うことを語ったり、心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいこと。また、そのさま。
10. 装備 : 必要な機器などを取り付けること。戦闘・登山など特定の目的に応じた用具をそろえたり身につけたりすること。また、その機器や用具。