地震後 保護者待たずに児童下校させる 市教委が謝罪 大阪 高槻
先月、大阪府北部の地震で震度6弱の揺れを観測した大阪 高槻市で、3つの小学校が学校の防災マニュアルに反して保護者の迎えを待たずに児童の一部を下校させていたことがNHKの取材でわかりました。市の教育委員会は不適切な対応だったとしています。
先月18日の地震で大阪 高槻市では、市内の41の小学校がすべて臨時休校となりました。
市の教育委員会などによりますと、学校の防災マニュアルでは震度5弱以上の地震の場合、保護者が迎えに来るまで学校が児童を保護することになっていますが、今回、3つの小学校では防災マニュアルに反して保護者が来る前に児童の一部を集団下校させていたということです。
このうちの1校では、地震からおよそ1時間後に120人ほどの児童を教員が付き添って集団下校させたということで、中には保護者が留守なのに自宅に帰したケースもあったということです。
この小学校では保護者からの抗議を受け、不適切な対応と認め、校長がすべての保護者に文書で謝罪したということです。
NHKの取材に対し、この小学校の校長は「早く帰したほうがいいと判断したが対応は間違っていた。混乱を招いて申し訳ない」と話しています。
高槻市教育委員会は、3つの小学校の校長に対し、防災マニュアルを順守するよう指導したということです。
文部科学省は、東日本大震災が起きた年のよくとし学校の防災マニュアル作成の手引きをまとめ、この中では震度5弱以上の地震では保護者が迎えに来るまで児童を学校で保護するなどのルール作りを求めています。
保護者の1人は「事前に引き渡しの訓練まで行っていたのに余震のおそれがある中で集団下校させたのは親として納得できない。学校には子どもの安全安心を第一に考えてもらいたい」と話しています。
「災害時は学校で児童を保護する義務」最高裁判決も
平成23年に起きた東日本大震災の際には、宮城県東松島市の野蒜小学校でいったん学校に避難した児童が、同級生の親に引き渡されて津波に巻き込まれて死亡しました。
このとき死亡した児童の遺族が市を訴えた裁判で、災害時には学校に家族が来るまで児童を保護する義務があったとする判決が最高裁で確定しています。
一方、文部科学省は、震災の翌年、学校の防災マニュアル作成の手引きをまとめ、震度5弱以上の地震では保護者が迎えに来るまで児童を学校で保護するなどの例を挙げてルール作りを求めていました。
リンク:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180705/k10011510401000.html?utm_int=news-new_contents_latest_001
【単語】
1.観測:自然現象を精密に観察・測定し、その変化や推移を調べること。
2.不適切な: 取り扱いや対処の仕方がまずかったりふさわしくなかったりする・こと(さま)
3.混乱:物事が入り乱れて秩序をなくすこと。いろいろなものが入りまじって、整理がつかなくなること。
4.留守:外出して家にいないこと。
5.付き添う:世話をするため,人のそばについている。
6.引渡し: 人や物を相手に引き渡すこと。
7.巻き込まれる:大きな勢いに逆らえず加わることになるさま
8.訴える:物事のよしあしの判断をしかるべき機関や人に求める。判決を請う。告訴や告発をする。
9.例を挙げる:話題を具体的に示す事例を紹介するさま
【質問】 記事を読んで次の質問に答えてください。
1. 学校の防災マニュアルでは震度5弱以上の地震の場合はどうすることになっていますか?
2. 平成23年の東日本大震災の際に死亡した児童の遺族が市を訴えた裁判結果について話してください。