CT画像 がんの疑い見落とし患者2人死亡 千葉大附属病院
千葉大学医学部附属病院は、男女合わせて9人の患者について、がんなどの疑いがあったにもかかわらず主治医がCT検査の結果を見落とすなどして診断が遅れ、4人の治療に影響が出たと発表しました。このうち2人はがんで死亡し、病院は遺族などに謝罪しました。
千葉大学医学部附属病院の山本修一病院長らが記者会見して明らかにしたところによりますと、平成25年以降、30代から80代の男女9人の患者について、CT検査の画像診断に関する検査結果についての報告の内容を主治医が見落とすなどして、診断が遅れたということです。
4人については治療を進めるうえで影響があり、このうち60代の女性と70代の男性はその後、腎臓や肺のがんで死亡したということです。
病院は遺族や患者に謝罪するとともに、医師などに対して検査結果の確認を徹底するなどとした再発防止策をまとめました。
山本病院長は記者会見で「患者や家族に多大な迷惑をかけ申し訳ありません。また地域の皆さんの信頼を損なう結果になり誠に申し訳ありません」と述べ、謝罪しました。
画像診断どう行われたか
千葉大学医学部附属病院では、患者の画像診断や検査結果の報告は、次のような流れで行われていました。
まず、診療科の医師が放射線診断の専門医と検査の担当者に、それぞれ画像診断を依頼します。
依頼を受けて、検査の担当者は、撮影した画像データを診療科の医師と放射線診断の専門医の両方に送ります。
そして、診療科の医師は、みずからの目で画像データを確認するとともに、放射線診断の専門医が作成した診断結果の報告書も参考にして、今後の治療方針を決めていました。
この流れの中でミスが起きた原因として、外部調査委員会は4点を指摘しています。
まず、そもそも診療科の医師が画像診断を依頼しなかったケース。
次に、診療科の医師が放射線診断の専門医から提出された報告書について自分の専門領域だけに注目し、それ以外の所見を見落としたケース。
放射線診断の専門医による報告書の作成が遅れ、結果的に診療科の医師が確認しなかったケース、
そして、放射線診断の専門医が報告書を作成しなかったケースです。
こうしたミスの再発を防ぐため、病院側は業務の流れを見直し、画像診断の体制を強化するとしています。
具体的には、来月1日付けで「画像診断センター」という組織を設け、放射線診断の専門医の人数を増やしていきます。
また、放射線診断の専門医が作成した報告書の内容を、患者も一緒に確認する仕組みを作るとしています。さらに、来年1月にシステムを更新して、診療科の医師による報告書の確認状況の記録や管理を徹底するとしています。
4人の見落としの状況は
千葉大学医学部附属病院は、CT検査の結果を見落とすなどして診断が遅れ、治療に影響が出た4人についての経緯を説明しました。
▽50代男性は、平成28年6月に頭けい部の腫瘍を確認するためCT撮影したが、画像診断報告書の確認が不足し、平成29年7月に、ほかの病院からの肺がん精査依頼のCT画像で肺がんを認識した。
▽60代の女性は、平成25年6月に炎症性腸疾患の経過観察のためCT撮影したが、画像診断報告書の確認が不足し、平成29年10月にアレルギー・こう原病内科によるCT撮影で腎臓のがんを認識した。
▽60代の男性は、平成29年5月に心臓手術の手術前の検査のためCT撮影したが、画像診断報告書の確認が不足し、平成29年10月に消化器内科によるCT撮影ですい臓のがんを認識した。
▽70代の男性は、平成28年1月に皮膚の悪性腫瘍のPETーCT報告書について肺の異常を十分に確認せず、平成29年4月に皮膚科によるCT撮影で肺がんを認識した、などとしています。
病院によりますと、このうち60代の女性と70代の男性は腎臓や肺のがんで死亡したということです。
リンク:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180608/k10011469061000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
【単語】
1.見落とす:見ていながら気づかないですごす。看過する。
2.徹底する:中途半端でなく一貫していること。
3.損なう:人の気持ちやからだの調子を悪くする。
4.依頼:人に用件を頼むこと。
5.領域:ある力・作用・規定などが及ぶ範囲。また、その物事・人がかかわりをもつ範囲。
6.再発:おさまっていた病気がもう一度起こること。
【質問】 記事を読んで次の質問に答えてください。
1. 患者2名が死亡した事件の発端は何ですか?
2. 病院側は今後どのような対策案を出していますか?