脱毛症や重いアトピー性皮膚炎などを引き起こす遺伝子変異を発見し、この遺伝子の働きを抑える薬を患者に投与して症状を改善することに成功したと国立成育医療研究センターなどのグループが発表しました。
アレルギーの病気には生活環境だけでなく、遺伝的な要因が影響するものもあり、原因となる遺伝子を調べる研究が進められています。
国立成育医療研究センターの森田英明研究部長らのグループは脱毛症やアトピー性皮膚炎など重いアレルギーの症状があるものの、炎症を抑えるステロイド剤など一般的な治療で症状が改善しなかった男の子の患者について、原因を調べようと遺伝子を詳しく解析しました。

その結果、「JAK1(ジャック・ワン)」という遺伝子にこれまで知られていなかったわずかな変異が見つかり、細胞を使った実験でこの変異が炎症反応を引き起こしていると分かったということです。
この遺伝子の働きを抑える薬はすでに実用化されていて、男の子に投与したところ、およそ5か月後には脱毛症がほぼ治り、皮膚炎も改善したということです。

森田研究部長は「アレルギーの原因を調べる遺伝子検査は実用化されておらず、今回の患者のように対応する薬があっても治療に結び付かないケースは一定数あるとみられる。薬がない場合も開発につなげることができるので、遺伝子検査の実用化を目指すべきだ」と話していました。