漁獲枠の上限を超えたため停止命令が続いている小型船のスルメイカ漁について、北海道は資源調査のための「試験操業」として10日から事実上の再開を認めました。
スルメイカ漁の盛んな函館市では11日朝、休漁後初めてとなる水揚げと競りが行われました。
小型イカ釣り漁船によるスルメイカ漁をめぐっては、漁獲枠の上限を超えたとして国の停止命令が出されていますが、北海道は、小型イカ釣り漁船の漁業者に対し「試験操業」として道の漁獲枠の中できのうから事実上の再開を認めました。
函館市の漁港では11日朝早く、漁を終えた漁船が相次いで戻り、次々にスルメイカを水揚げしました。
漁業者の1人は「波も高くあまりとれなかったが、生活もかかっているので漁に出られたことがまずはうれしい」と話していました。

また、港のそばにある卸売市場で3.6トン余りが競りにかけられ、5キロ1箱がおよそ7000円と、通常のこの時期と比べて3000円ほど高値で取り引きされました。
イカの競りを行っている卸売会社の美ノ谷貴宏営業部長は「水揚げの量としてはまだまだだが、『イカのまち函館』にイカが帰ってきてうれしい」と話していました。
函館市内の市場にある鮮魚店には11日朝、小型イカ釣り漁船が水揚げしたスルメイカが早速、並びました。
鮮魚店で50年以上、店頭に立つ富田和子さんは「大きくて見た目もきれいな『釣りイカ』をやっとしっかり入荷でき、きょうは商売していて楽しいしお客さんも喜んでくれている。天気がよくなったら生きた状態の『生けすイカ』の水揚げにも期待したい」と話していました。
愛知県から旅行で訪れたという50代の男性は「漁が再開したというニュースを見て買いに来たが、透明でコリコリしたイカはここじゃなきゃ食べられないので家族と楽しみに食べたい」と話していました。
また、地元の70代の男性は「函館にイカはなくてはだめで、ようやく『釣りイカ』が手に入りうれしい。今夜はお酒とともに楽しみたい」と話していました。